BLOG「森とくらしのはなし」

森のこと

リスの忘れっぽさが森を豊かにする理由

森のなかを歩いていると、すべての生きものが「ただ生きているだけで」森全体の生態系循環に関わっているんだなと感じることがあります。

シカが生を全うするだけで、その死骸は微生物にゆっくり分解され、新しい植物を育む土の一部になります。ミミズやヤスデがふんをするだけで、土壌の粒子がくっつき「団粒構造」という崩れにくい土をつくったりします。そんなふうに、生きものがただ生を全うするだけで、結果的に森全体の循環がうまく回っていくという事例は、枚挙にいとまがありません。

森を歩くと発見がたくさん

そうした事例には、思わずくすっと笑ってしまう話もあります。リスの「貯食」という行動の話です。

リスには「貯食」という特有の行動があります。食べものが少なくなる時期に備えて秋のうちに木の実を拾い、他の生きものに取られないように、土のなかや木の陰などに隠しておく行動のことです。冬は森のなかでは食べものがほとんど無くなる時期。厳しい季節を乗り越えるためにも、貯食はリスにとってはとても大切な冬支度なのだといえます。

ですが、ここからが面白い。実はリスは忘れんぼうなので、自分がどの場所に木の実を隠したのか、忘れてしまうことがあるのだそうです。自分で採取してきた木の実を、地面のなかや樹木の枝と枝のあいだなどに半分ずつくらいで分けて隠し、そのうち一部分は、そのまま忘れ去られて放置されます。森林総合研究所の発表によると、拾った木の実全体のうち7%ほどが地面や木の陰に貯蓄されたままになっているとのことでした。

森林総合研究所
https://www.ffpri.go.jp/pubs/seikasenshu/1994/p04.html

忘れられた木の実は、リスによって別の場所へ運ばれていることから親木から離れた場所で発芽できます。そのため木の視点からすると、元の場所よりもさらに分布域を拡大することができたといえます。

新たな場所で成長し、毎年落ち葉を落として、その落ち葉が微生物によって分解されて、ふかふかの腐葉土をつくったり。根っこと共生する菌類である菌根が土のなかでネットワークを作って、崩れにくい土をつくったりと、そこからさらに新しい循環が生まれていくわけです。

リスの忘れっぽさが、結果的に森全体の豊かさに寄与している。すごくかわいらしい話だなと感じます。

わたしたち人間も、「自然体のままで活躍できる」という状態が良いとされることがあります。それぞれが苦手なことを認めたうえで自分の持っている才能を生かし、得意分野で役割を全うする。その結果、全体として物事がスムーズに進行していく。そんな組織が理想だという話は、しばしば耳にします。「苦手なことやできないことを無理にやろうとしない」ということは、個人にとっても組織にとっても、案外大切なことなのかもしれません。

ちなみにリスの貯食行動は動物園でも観察できることがあるそうです。機会があればぜひ見に行って、どこに木の実を隠しているのか観察してみてください。

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